あれは確か勤め始めた頃のこと、職場の仲間と建築雑誌でシドニー・オペラハウスの完成写真を見ながら「なんで、こうなるの?」と、強い憤りを感じた事を覚えている。学生時代、現地を視察してきた教授の『工費的にも、構造的にも未解決な部分が多く、苦労している。ウッツオンも投げ出してしまった。』という説明で、ある程度は予想はしていたものの、ウッツオンのコンペの当選作のスケッチを見ながら夢見ていた『浮遊する建築』とかけ離れた姿に愕然としてしまった。
そういえば『Visionary Architecture(幻想建築)』という言葉も流行っていた。
ご存知の方も多いかと思いますが、このオペラハウスは1956年、建築デザイン国際コンペが行われ、233の応募作の中から、スケッチだけの応募でしたが、その斬新的なアイデアで無名のデンマーク人ヨルン・ウッツオンの作品が選ばれました。そのアイデアを生かすために多くのオーストラリアの建築家が協力して、17年という年月をかけて完成させましたが、途中1966年、意見のくい違いからウッツオンが主任建築家の地位を投げ出してしまいました。
結局、280枚のタイル貼り球面プレキャストコンクリートパネルのシェル構造で作られ、大ホール(多目的2700人)、中ホール(オペラ・バレー1500人)とレストランの3棟が入っています。何となく重たく感じるのは、プレキャスト板のせいありますが、基壇のごつさのせいかもしれません。
■画像は30年以上も前のもので現状とは大きく異なっている場合もあります。