ここまでたどりついた時には、もはや同化寸前であった。母なる川ガンガーで沐浴し、畔の床屋で髭をあたってもらい、ダンネワードと声をかける。バラーナシは最も天国に近い町である。この町に年間100万人を超える巡礼が訪れ、そのなかにはここで死ぬのを目的にしている人さえいる。岸辺からは一日中遺体を焼く煙が立ち上がり、路上にはガンガーに捧げる花を売る女たちが店を開き、その先には物乞いたちがずらっと列をなして座り、行き交う人々に喜捨を求めている。
バクシーシ(おめぐみを)という言葉が少しも違和感を与えない世界が広がっている。
サーンチーは、マディヤ・プラデーシュ州の中央、州都ボーパールBhopalのわずか北東にある小さな村で、アショーカ王の仏塔(ストゥーパ)がほぼ完全な姿を残している。直径36,5m、高さ16.4m。アショーカ王が基礎を造り、その後、紀元前2〜1世紀に完成した。この塔を囲む四方の門(トラーナ)は、そのみごとな彫刻で有名。石材にブッダの生涯、また前世の物語が細かく彫られている。
ブッダを直接描くことを避け、菩提樹、仏足跡、法輪などにより、その精神性を象徴させているのが興味を引く。見上げると、豊かな姿態の天女が、横に渡した石材を支えている。(引用許可:ダイヤモンド・ビッグ社「地球の歩き方」編集室)
■画像は30年以上も前のもので現状とは大きく異なっている場合もあります。