チェンナイ(マドラス)から南西へ77q。広い緑の田園を走り終えると、いくつもの寺院を抱えたヒンドゥー7聖地のひとつカーンチープラムに出る。7〜8世紀にかけて栄えたパッラヴァ朝の都に、シヴァ神やヴィシュヌ神を祀る200を超える寺院が建てられた。
力イラーサナータ寺院Kailasanatha Templeは町の西の外れにあり、カーンチープラムで最も美しい寺院のひとつだ。58もの小さな神殿が外壁となっており、そのなかには7つの寺院があり、シヴァ神を祀った本殿にも入れる。
ワラダラージャ寺院Varadaraja Templeは町の中心から南東へ3kmとやや離れたところにあるり、ここもヴィシュヌ神を祀っている寺院。16世紀、ヴィジャナガル朝時代に建てられ、チェンナイなどのドラヴィダ建築の寺院で見られるようなゴープラム(塔門)がある。中に入って目を引くのが96本の石柱をもつ巨大なホールで、この石柱に細かく施された彫刻は一見の価値がある。
そのほかにもヴァイクンタペルマール寺院Vaikuntha Perumal Temple、エーカンバラナタール寺院Ekambaranathar Temple等多くの寺院があり圧倒される。
マハーバリプラムは、チェンナイから海沿いに南へ60q下ったところにある。ベンガル湾を望むのんびりとしたリゾート地だが、7世紀ごろ、東からはインド洋を越えて、また西からは遠くアラビア海を渡ってくる東西交易の拠点として栄えた。
海岸寺院Shore Templeは7世紀後半に造られた小さな寺院で、造られた当時は文字どおり波打ち際に建てられてた。かつては同じような寺院が7つあったが、残っているのはこの寺院だけで、ふたつのピラミッド型の寺院が並んでいるが、チェンナイ石を積み上げて造られた均整のとれた形は、南インド各地で見られるハデな寺院と比べると地味だが、ベンガル湾を渡ってくる風のなかにたたずむその姿はなんとも風情がある。
幅29m・高さ13mの岩に掘られた巨大な彫刻、アルジュナの苦行は「ガンガーの下降Descent of the Ganga」とも呼ばれ、ガンガーがこの世に降りてきたときの物語を
レリーフにしている。
訪れた時は、丁度ダンス・フェスティバルの期間で多くの人で賑わっていた。プログラムはインド各地の力タカリやカタックなどの古典と民族ダンスで、インドの代表的な踊りを見ることができた。小さな村なので全ての人を収容できる宿泊施設など無く、踊りが終わると多くの人々は海岸寺院の見える浜辺に行き、砂の上に寝転がって朝を迎えることになる。何処までも澄み切った夜空に煌々と満月がさえわたり、海岸寺院が漆黒の海をバックに照らしだされる。
波の音が繰り返し繰り返し……。とうとう3日も逗留してしまった。(引用許可:ダイヤモンド・ビッグ社「地球の歩き方」編集室)
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