高校の世界史の授業で『ルネサンス』という言葉とそれが『人間性回復』を意味する事を知って、その言葉の斬新的な響きに酔いしれた覚えがある。大学に入ってブルックハルトの著作『イタリアルネサンスの文化、一つの考察(Die Kultur der Renaissance in Italien, ein Versuch)』を読んで、それが単なる芸術様式を表すだけではなく、彼の文明史観に基づく言葉であることを学んだ。
その後、機会があって
フィレンツェで2年間を過ごし、絵画、彫刻、建築に日常的に接し、形態的な分類はできるようになったが、未だに理解できない気がしている。
帰国を前に、
ウフィッツィの片隅にある
ボッチチェルリの晩年の小品『Calunnia
讒言』を見ていた時、僧職者が2本の指を折り曲げて絵画をコンコンコンと軽くたたいて、私に微笑んで去って行った。
人間性回復を目指した彼らの行き着く先があの絵の世界であったならば、ルネサンスは花の都に咲いたあだ花かもしれない。
建築の分野でのルネサンスの先駆者は、『
天国の門』のコンペで
ギベルティに破れたブルネレスキである。ギリシア、ローマ時代のオーダーを
復活させ、幾何学的な構成手法を用い、絵画や彫刻や象徴を建物から分離させた。
続いて、
アルベルティが『建築論十書』など数々の著作を発表し理論付けするとともに、実線的な建物も手がけた。その後、
ブラマンテや
サンガッロ兄弟などの建築家が活躍し、
16世紀には彫刻、絵画、建築の全てに秀でた巨匠、
ミケランジェロが現れる。
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