
写真の無かった昔は絵画や彫刻は重要な記録手段の一つである。パオロ・
ウッチェロの描くサンロマーノの戦いは、1432年の
サンジミニアーノ南方のエルサ渓谷での
フィレンツェと
シエナ・
ミラノ・神聖ローマ帝国連合軍との戦いで、
珍しく
フィレンツェが勝利した戦いを描いたものである。この作品は3部作からなり、後の2枚はロンドンとパリにあり、
ウフィッツィに飾られているものは
2番目の作品で、
シエナ軍の将軍ベルナルディーノが
フィレンツェ軍から突き出された槍の一撃で落馬する瞬間を描いたもので、マザッチォにより絵画に取り入れられた遠近法を駆使して描いた。しかし、あまりにも遠近法にこだわり、画面構成を重視し過ぎたために、躍動感がなくなり静止画を見ているような気がしてルネサンスの息吹が感じられない気がします。
ウフィッツィ美術館の設計者として有名なジョルジョ・
ヴァザーリは16世紀に活躍した
マニエリストで、建築、絵画、評論の分野で多くの業績を残している。特に
チマブーエから
ミケランジェロに至る163人の芸術家達の評伝『画家・彫刻家・建築家列伝』
は美術史を語る上で不可欠の作品である。その中で『再生(rinascita)』という言葉を用いたが、それが今日この時期の芸術活動を『ルネサンス(rinascimento)』と呼ぶ元になったのは有名なことである。
絵画でもこのページに取り上げた
ベッキオ宮殿の大広間の壁画(
ミケランジェロと
ダヴィンチの未完の作品の上に描かれている)や
花の大聖堂の天蓋の『
最後の審判』等、数多くの作品を残しマルチタレントぶりを発揮している。それは、丁度
フィレンツェがメディチ家の大公国に組み入れられた時期と重なり、ルネサンスが終焉した。