
いつだったか忘れたがNHK紅白歌合戦で松田聖子さんが羽をつけた真っ白い衣装で現れて『おねが〜いエンジェル』と歌ったことがあった。なかなかかわいい(?)シーンではあったが、どこか違和感を覚えたのは『天使は男』という固定観念を持っていたせいなのかもしれ

ない。ところが、天使(angele)とは神の使いであって性別がないという話で、彼女には最もふさわしいかもしれない。
どうも、ギリシアや
ローマ神話の天子(putto)と混同していたようである。これははっきり男の子でシンボルもしっかり描かれている。キューピッドも彼らの仲間である。両方とも羽をつけているのが紛らわしい。
絵画の分野でのバロックの巨匠を挙げろと言えば、やはり
カラヴァッジオをあげるだろう。最近、日本でも数々の展覧会が催され、ファンも沢山いるようであるが今一好きになれない。爛れた内臓に色付きのスポットライト当てて写実に徹して描くような技法は、
トスカーナの
風土で美術に慣れてしまった工事屋の目にはどこか退廃的で、背徳的に映る。
私の友人の女性などは「そこがたまらない。」とのたまうが、欲求不満ではないかと心配してしまう。

彼の実生活も放蕩と流浪にあけくれる。1571年
ミラノに生まれ、
ローマに出て名声を得始めた矢先、同じ画家仲間といざこざを起こし
マルケ地方に逃
げ出し、ほとぼりがさめて
ローマに帰るも、今度は障害事件を引き起こし
ジェノヴァに逃亡。再び、
ローマに帰るが、直ぐに喧嘩で人一人を殺傷し、マルタに逃げ出す。マルタでも騒動を起こし、シラクーサ、メッシーナ(
シチリア島)を経て
ナポリに戻り、
ローマへ向かって旅立つが、その途
上に病死する。その流浪の間も絵筆を離すことなく、彼の最高傑作『
聖ジョヴァンニの斬首』もマルタ島で描かれた。恐るべき人生である。