アッシジの富裕な商人の息子であったサン・フランチェスコは13世紀初期、清貧な生活の中で神に仕える道を提唱し、世俗の中に埋没しようとしていた当時のカトリック教会に大きな影響を与えた。彼とその賛同者らは托鉢修道者の教団として世に受け入れられ、法王の認可
を得られるようになった。その後、イタリア全土にその運動が広がり、
アッシジには彼らの総本山というべき巨大なサン・フランチェスコ寺院が建設され、その名前を冠する教会の數はサンタ・マリアに次いで多いのではないかと思う。
彼の生涯を描いた絵の中で
ジョットーの作品が特に有名である。宗教精神を変えようとして立ち上がった先人に、絵画の世界の変革者が共感を抱いたのも分かるような気がする。それは、やがて大きなうねりとなり、ルネサンスや宗教改革へ続いていった。
サン・ジョルジョの竜退治はあまりにも有名なテーマである。生贄の姫を助けるために勇敢な若者が竜に一人立ち向かう。日本にも八叉の大蛇の話があるように古今東西を問わず語り継がれてきた話である。しかし、西洋の絵では何時見ても竜がひ弱で、蝙蝠みたいで可哀そう
に思うのは私だけであろうか?

殉教者として有名なサン・セバスティアーノは3世紀末の
ディオクレティアヌス帝の時代に迫害される仲間を助けた近衛兵で、その若々しい肉体に何本も矢を受けた姿はエル
グレコをはじめとして多くの画家達に描かれている。その痛ましさは処女殉教者達に通ずる妖しげなエ
ロティシズムを感じてしまう。そんな中で
ベルガモのアカデミア美術館にある
ラファエロのそれは着衣していて、澄ました顔で矢を持って描かれている。このあたりが
ラファエロを好きになれない理由の一つかもしれない。