聖母子像の描き方は様々であるが、一般的な図像形式は『玉座のマドンナ』と呼ばれるもので、画面の中心の玉座にまつられた天の女王としてのマリアを強調したもので、周囲に天使や聖人達を従えている場合が多い。(聖人の場合なんとなく、権威付けに聖母子が利用されているような気がしないでもない。中小企業の社長室にいくと、著名俳優や有名政治家などと一緒に撮った写真がよく飾られているが、それを連想してしまう。)
この場合、「堂々たるもの」を表すイタリア語のマエスタ(Maesta)を使うことも多い。より豪華になると左右に連なるパネルが観音開きにつけられて絵が描かれ、トリチコと呼ばれる祭壇画を構成する。

一方、聖母の謙譲、慈悲、母性を強調する図像形式として床に座ったり、立像で描かれている『ウミルタ(謙遜)のマドンナ』『マドンナ・ラクタンス(乳を与える聖母)』『マドンナ・ミゼリコルディア(慈悲の聖母)』などがある。慈悲の聖母はマントを広げて信者の集団を庇護している姿が描かれている。いずれも、より身近な存在としてマリアがとらえられ、キリスト教が民衆のなかにすっかり定着してきた証でもある。
また、ヨセフ(夫)、アンナ(母)、
エリザベツ(従姉妹)や
洗礼者ジョバンニらと共に描かれると『
聖家族』と呼ばれる図像形式である。