受胎告知からエジプトへの脱出まで間のキリストの幼児期を題材にした作品である。『訪問』はマリアの従姉であるエリザベスも又、
大天使ガブリエルの告知を受け
洗礼者ジョバンニを身籠もっていることを知り、マリアが訪問する(ルカ伝)を題材にしている。
『生誕』はベツレヘムの馬小屋での出来事で、羊飼いへのお告げ、羊飼いの礼拝、三賢人の礼拝、宮参りへと話が続く。一つの権威が後世の語り伝えによって(福音書)に形成されていった過程におおいに興味が涌いてくる。
また
デューラーや
ロットのような1500年代の作品になると三賢人の一人が黒人として描かれているのは、その時、大航海時代とカトリックの世界布教とが平行していた事を思い出すと良く理解できる。

数ある東方三博士の礼拝のなかで、私のお気に入りは
ファブリアーノのそれである。もともと、
サンタ・トリニタ教会のストロッツィ家の礼拝堂にあったもので、当時
フィレンツェ第一の資産家の力を見せ付けるようにふんだんに金銀が使用されている。
作者のジェンティーレ・ダ・
ファブリアーノは
マルケ地方の出身で、
ラヴェンナのビザンチン芸術を彷彿させる煌びやかな色使いが目を引きつけて離さない。馬の表情や人々の顔付きがユニークで、一つ一つ物語りを語ってくれるようである。ルネサンスの足音はもうそこまで近づいて来ている。