リヴァーフォレストは
シカゴから真っ直ぐ西に延びるCTA(市営交通局)のLake Street線の北側に隣接する緑豊かな高級住宅街です。東京で言えば、西荻と中央線と善福寺の位置関係にあり、
オークパークから歩いても行ける静かな所で、ここでも
ライトは何軒かの住宅を設計しています。すっかり、街の建築屋の地位を確立したと言えそうです。
その中で、最も有名な住宅はポスト・モダンの旗手ベンチューリよっても紹介されたウィンスロー邸です。この建物は矩形を9分割しそれにアーティキュレイションをもたせるという
パラディオの用いた平面構成の手法を採用している。
ライトはその手法をずっと追い続け、スタジオやユニティ教会、ロビー邸でも多少の変形を加えながら踏襲された。その結果、立面に秩序を与え古典主義的な表情をもたせた。とにかく、美しい住宅である。
実は、
ライトの自邸にある財団の売店で『ウィンスロー邸を見学したい』と言ったら、事務員が少し困惑した表情を浮かべた。『工事中か何かで見学できないのか?』と質問したら『いや、見ることは出来る。』とどうも歯切れが悪かった。早速、タクシーで現地に行くと、この美しい住宅は、誰一人いない通りに面し広い芝生のむこうにその姿を現した。
ちょっと手前でタクシーを降り、写真を撮りながら近づいて行くと窓からこちらを見ている住人の影が見えた。「これはしめた。もしかすると裏側も見せてもらえるかも」と思いアプローチ道路に足を踏み入れた途端、正面のドアが開いて大声で『出て行け!』と叫びながら老人が飛び出して来た。
瞬間、『フリーズ』射殺事件を思い出し、あわてて道路に飛び出した。そしたら、老人はさっさと引き返しドアを閉めて家の中に入っていってしまった。例え、生垣や塀がなくても敷地内だと思い知らされ、改めて「ここはアメリカなのだ」と実感した。