オークパークはシカゴの西側に隣接する小さな街である。シカゴが大躍進を遂げた1800年代後半に開発された中産階級のためのニュータウンである。
シカゴの中心部まで約15km、鉄道(メトラ)で15分余りと非常に便利な場所にありながら、駅のすぐ近くまで緑に囲まれた邸宅が迫ってきており、ホテルも1軒しかない静かな街である。また、CTA(市営交通局)のLake Street線も来ており、オヘア空港まではタクシーで20分と観光の拠点としても十分対応しうる。
工事屋は結局1週間この街に滞在し、CTAを利用してシカゴと往復した。ただ一つ難点なのは、途中シカゴの外周貧民街(かつての新興住宅地がスラム化した地区)を経て中心部と結ばれているので乗客層があまり良くなく、夜遅くなるとタクシーを利用せざるを得なかったことである。
この街を有名にしているのは、二人の巨匠フランク・ロイド・
ライトとヘミングウェイである。ヘミングウェイはこの町で生まれ、高校時代まで過ごし、
ライトはサリヴァンのもとで働きながら、この地に自邸を1889年にかまえた。しかし、その借金を返すためにアルバイトに精を出しすぎたためにサリヴァンに叱責されたころの作品がパーカー邸とゲイル邸である。
ただ、その作風は彼が最初にドラフトマンとして勤めたライマン・シルスビーの「シングル・スタイル」と鉛直線を強調する1870年代のリチャードソンの影響を色濃く残している。どちらかというと、金銭的な動機で家の近所の飲み仲間の家を片手間に作らせてもらったという感じがして、これが、
ライトの作品かと思う程の出来である。工事屋にも同じ様な経験があり(勿論、その後の歩んだ道には雲泥の差があるが……)
耳の痛い話であるが、建築を志す人間は「早く自分の作品を残したい」と考えていることを弁明しておきたい。100年以上たっても立派に維持管理され多くの見学者の訪れを受けるこの二つの駄作に親近感を感じてしまった。